こんにちは!SiiD代表エンジニアのセイトです。
Claude CodeやCodexを1つ動かすだけなら、デスクトップアプリでもVS Codeでもターミナルでも困りません。ところが2つ、3つと同時に動かし始めると、どのウィンドウが何の作業をしていたのか分からなくなってきます。
そこで僕が実務で毎日使っているのが、AIエージェントを並列で動かすための開発ツール「Orca」です。2026年3月の公開から半年で、GitHubのスターが7万を超えました。
動画で見たい方はこちら(YouTube)、(タイトルにClaude Codeとありますが、Codexでも使えます)
記事で読む方はこのまま続きへどうぞ。
ADE「Orca」とは:AIエージェントを並列で動かす無料の開発環境

Orcaは、Claude CodeやCodexなど複数のAIエージェントを並列で動かすための、無料の開発環境(ADE)です。
エンジニアはこれまで、VS CodeのようなIDEで開発してきました。IDEは、人間がコードを書くことを前提に作られています。
それに対して、AIエージェントにコードを書かせることを前提に作られた開発環境を、ADE(Agent Development Environment)と呼びます。複数のAIを同時に動かして、それぞれの進み具合を見て、出来上がったものを確認するための開発環境です。
Orcaには次のような特徴があります。
- 無料:MITライセンスのオープンソース。お金がかかるのは、Claude CodeやCodexなどAI側の契約だけ
- AIを選ばない:Claude Code、Codex、Gemini CLI、Cursor CLIなど、ターミナルで動くAIエージェントならほぼ何でも動かせる
- OSを選ばない:Mac・Windows・Linuxに加えて、iOSとAndroidのアプリもある
Orcaでできることは、並列処理・Git操作・内蔵ブラウザ・セッションの保持・自動化・スマホ連携の6つです。
Orcaの機能1:ワークツリーとブランチを自動で作る並列処理
Orcaで新しいセッション(AIに1つの作業をさせる単位。Orcaの画面では「ワークスペース」と表示されます)を作ると、ワークツリーが自動で作られて、Gitのブランチも一緒に切られます。ワークツリーは、1つのリポジトリから、別のブランチの作業場所をもう1つ切り出すGitの機能です。

同じフォルダで複数のAIを同時に動かすと、AI同士の作業がぶつかって、ファイルを上書きし合ったり、コンフリクトが起きたりします。そのため、並列で動かすときはAIごとにワークツリーとブランチを分けるのが定番のやり方です。
Orcaでセッションを作るときにやるのは、動かすAIエージェントを選んで、名前を付けることだけです。AIエージェントはセッションごとに選べるので、実装はCodex、レビューは別のセッションでClaude Code、という分け方も手軽にできます。


IDEやtmuxのようなターミナルの分割でも、並列で動かすこと自体はできます。ただ、ワークツリーを作る、ブランチを切る、AIを起動する、という操作をその都度コマンドで打つ必要があります。Orcaはそれを、セッションを作る操作1回にまとめてくれます。
ステータスアイコンで止まっているAIが分かる
サイドバーのアイコンで、それぞれのセッションが今どうなっているかが分かります。
- 緑のチェック:完了
- 黄色い円:処理中
- オレンジの「?」:AIから質問が出ていて、回答待ち
見るのはオレンジの「?」だけです。ここで止まっている間、そのAIは何もしていません。並列で回すときの人間の仕事は、この「?」を1つずつ潰していくことです。

セッション名がそのままTODOリストになる
セッション名は、サイドバーでダブルクリックすればいつでも変えられます。名前をタスク名そのものにしておくと、左のサイドバーがそのままTODOリストになります。終わったセッションは右クリックで削除すればワークツリーごと消えるので、使い終わったフォルダが溜まっていくこともありません。
モデルもセッションごとに変えられる
同じClaude Codeの中でも、重い実装はFable、軽い調査はSonnet、のようにモデルを分けられます。モデルは、立ち上げたセッションの中でClaude Codeの /model を打って選びます。どのモデルをどれだけ使ったかは、Orcaのステータスバーに出る契約の使用率と、上限がリセットされる時刻で確認できます。
注意点が1つあります。Claude Codeの仕様で、Enterで確定するとClaude Code全体の既定のモデルとして保存されてしまいます。そのセッションだけ変えたいときは s キーで確定してください。

ファイルをその場で開いて直せる
セッションを選ぶと、そのワークツリーのファイルがサイドバーに出るので、クリックすればそのまま開いて編集できます。ファイル名が分かっているなら、Cmd + P(Windowsは Ctrl + P)で探すほうが速いです。エディタはVS Codeと同じMonacoエディタで、Markdownはプレビュー表示のまま編集できます。
VS Codeでは、ワークツリーは別フォルダなのでウィンドウを開き直すことになり、3本並列なら3つのウィンドウを行き来します。Orcaはセッションを切り替えるだけで、ファイルの一覧もそのワークツリーのものに切り替わります。

僕の使い方:pend-と、常設のquestion・reviewer
僕はセッション名の頭に「pend-」を付けることがあります。ペンディングの意味で、「チームメンバーの対応待ちで、こちらでは進められない作業」(デザイナーから画像が届かないと進まない実装など)です。アイコンで分かるのは「AIが止まっている」ことまでなので、「人を待っている」ことは名前で見えるようにしています。
それとは別に、役割を決めたセッションを2つ、作りっぱなしにしています。
1つは「question」です。質問専用のセッションで、常にプランモード(ファイルを書き換えず、調査と提案だけをするようAIに指示するモード)にしてあります。「このエラーの原因は?」「この設計、もっといい方法ある?」という質問を実装中のセッションに投げると、実装の会話に質問のやりとりが混ざって、そのあとの精度が落ちるからです。
もう1つは「reviewer」です。レビュー専用のセッションで、モデルは常に最上位のFableにしてあります。実装したセッションのAIが「できました」と言っても、そのセッションには「レビューして」と頼みません。reviewerにワークツリーのパス(~/orca/workspaces/ の下にある、そのセッションのフォルダ)を渡して見てもらいます。
書いた本人に検品させると甘くなるのは、人間もAIも同じです。実装したセッションは「自分がこう書いた理由」を全部覚えているので、その前提ごと間違っていても気づけません。別のセッションは経緯を知らないので、コードだけを見て指摘してくれます。











