こんにちは!SiiD代表エンジニアのセイトです。
「ITエンジニアの求人は多い」と言われるのに、未経験の応募がことごとく通らない。この2つは矛盾していません。求人が多いのは事実ですが、未経験者に開かれている枠は限られていて、しかも開かれている理由が企業側の事情だからです。
未経験でもITエンジニアは目指せる
結論から言うと、未経験からITエンジニアになる道は今も開いています。レバテック株式会社の調査では、エンジニア未経験者を「採用している」企業は28.4%、「採用を検討中」は45.0%。合わせて7割以上の企業が、未経験者を採用の対象に入れています。
入口の広さは業態によってはっきり差が出ます。同じ調査で、システム開発関連会社では49.2%がすでに未経験者を採用済みでした。ここで言うシステム開発関連会社とは、顧客から依頼を受けてシステムを作るSIerや、技術者を客先に常駐させて開発を支援するSES企業などを指します。自社のサービスを自分たちで作る自社開発企業とは、仕事の受け方も働く場所も違う業態です。
ただし、なぜ門戸が開いたのかまで見ておく必要があります。未経験採用を始めた理由として最も多いのは「経験者採用が難しくなっているから」で46.5%(未経験者を採用していると回答した採用担当者284名)。未経験歓迎の枠が増えたのは、企業が育成に舵を切ったからというより、経験者を採れないという事情に押された結果という側面が大きいということです。
これは悲観する話ではなく、準備の方向を決める材料になります。採用側として2,000人以上の選考に関わってきた実感で言うと、こうした枠で見られているのは「今できること」ではなく「入社後に伸びる見込みがあるか」です。だからこそ、学習の履歴と、自分で手を動かして作ったものが判断材料として効きます。
なお、この記事の採用データは、レバテック「IT人材白書2026」(2025年11月調査・2026年1月発行/企業の採用担当者1,000名・IT人材3,000名)を主軸に使います。この手の記事でよく引用される経済産業省の「2030年に最大約79万人が不足する」は、2019年3月に公表された推計の高位シナリオの数字(中位では約45万人)で、生成AIが普及する前の試算です。今の採用現場を判断するなら、直近の調査を見てください。(出典:レバテック IT人材白書2026)
ITエンジニアとは?職種の分類から押さえる
ITエンジニアは、IT技術を使ってシステムやサービスを作り、動かし続ける職種の総称です。特定の仕事を指す言葉ではないので、「ITエンジニアになりたい」という言い方のままでは、応募先も学ぶ技術も決まりません。
大きくは、アプリケーションやWebサービスを作る開発系、サーバーやネットワークを支えるインフラ系、そして社内の情報システムを守る社内SEや、技術がわかる営業として提案に同行するセールスエンジニアなどのその他に分かれます。同じ「エンジニア」でも日々の業務はかなり違うため、まずこの分類を押さえることが職種選びの前提になります。
<画像:ITエンジニアの職種分類の図解。assets/01_図解①_ITエンジニアの職種分類.png を使用。挿入位置はこの段落の直後。alt: ITエンジニアの職種分類(開発系・インフラ系・その他)を示す図>
ITエンジニアの仕事内容
開発系は、顧客や社内の担当者から要望を聞き取る要件定義から、設計、実装、テストまでを担当します。同じ開発系でも、プログラマーは実装に、システムエンジニアは設計と進行管理に比重が置かれるのが一般的です。インフラ系はサーバーやネットワーク、クラウド環境の構築と運用を担い、障害対応や監視といった「止めない」仕事が中心になります。
未経験の方の想像と一番ずれやすいのは、時間の使い方です。実際の稼働時間は、コードを書いている時間よりも、仕様の確認・調整とテストに割かれる割合のほうが大きくなります。生成AIが実装を肩代わりする場面が増えたぶん、この傾向はさらに強まりました。だから未経験のうちにやっておくと効くのは、コードを速く書く練習より、「何を作るのか」を言葉で書き出す練習です。作りたいものを誰かに説明して、相手の質問に答えられるか。これが仕様を詰める作業のミニチュアになります。
未経験から目指すなら、開発系とインフラ系のどちらか
判断軸はシンプルです。ゼロから何かを作りたいなら開発系、動いているものを支えるほうが性に合うならインフラ系。学習量で言えば、開発系は言語とフレームワークが中心、インフラ系はネットワークとサーバーの知識が中心になります。
加えて、未経験可の求人が比較的多いのは、運用・保守や監視といった「すでに動いているシステムを扱う工程」です。入りやすさで選ぶこと自体は悪くありませんが、その場合は次のステップを自分で設計する必要があります(見極め方は「会社の選び方」で書きます)。
迷ったら、求人サイトで実際の募集を見るのが早いです。転職サイト(リクナビNEXT、doda、Green、Wantedlyなど)で「未経験可 エンジニア」と検索し、職種名ではなく仕事内容の欄を読み比べてください。文章で読んだ分類より、募集要項のほうが解像度が上がります。
ITエンジニアに必要なスキル
土台になるのは、プログラミングの基礎に加えて、ネットワーク・データベース・セキュリティといったIT全般の基礎知識です。どの職種に進んでも、動かない原因を切り分けるときにこの土台の有無が出ます。
そのうえで、採用側が実際に何を見ているかを知っておいてください。IT人材白書2026では、企業がエンジニア採用で最も重視する項目は「コミュニケーション能力」で30.7%、3年連続の1位でした。「コーディング・技術力」は15.6%で7位です(エンジニア採用全体の集計で、未経験採用に限った数字ではありません)。採用側の実感を言うと、未経験者同士の比較では技術力に大きな差が付かないため、要件を正しく聞き取れるか、詰まったときに状況を説明できるかで差が付きます。
もう一つの変化がAIです。同じ調査で、AIの出現によって重要度が増したスキルの1位は「プロンプトのスキル」で44.5%(AIの出現前後でスキルの重要度が変わったと回答した採用担当者501名)。一方、現役のIT人材側の調査では、以前ほど重要ではなくなったスキルとして「プログラミングスキル」が33.7%で上位に挙がっています(スキルの重要度が変わったと回答したIT人材1,486名)。評価の軸が「書ける」から「使いこなして正しく判断できる」へ動いているということで、未経験から学ぶ側にとっては、生成AIを使いながら学ぶこと自体が実務に近い練習になります。




